top of page
  • 執筆者の写真三協製薬株式会社

光造形プリンタ(3Dプリンタ)の洗浄剤の選び方

更新日:2023年8月30日



本記事では光造形プリンタ(3Dプリンタ)の洗浄剤の選び方について記載していきます。

IPA以外の洗浄液について知りたい方は参考にして頂ければ幸いです。





光造形3Dプリンタの洗浄剤の種類


光造形3Dプリンタは後工程でレジンを洗浄する工程があり、水で洗い流せるものもありますが、一部は洗浄液を使用して洗浄されます。

この洗浄液は基本的に有機溶剤が主成分となっており、主に以下のようなものがあります。


●洗浄剤の種類

・IPA(イソプロピルアルコール、イソプロパノール)

・TPM(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)

・変性エタノール(酒税が非課税になるように変性剤を加えたエタノール)

・各社独自で製品化している洗浄剤(主成分は有機溶剤)


それぞれ洗浄剤の系統が違うため、洗浄力や乾燥性に違いがあります。

後処理で使用する洗浄液のため、光硬化後の造形物に影響が出ないことも重要な指標です。

上記の洗浄剤について順番に解説していきます。





IPA(イソプロピルアルコール、イソプロパノール)


IPA(アイピーエー)はイソプロパノール、イソプロピルアルコールと呼ばれるアルコール系の有機溶剤の一種です。

安価でそこそこの洗浄力と乾燥性があり、オンラインショップでも入手ができ、光造形のレジン洗浄として最もよく使用されているものです。


●IPA(イソプロピルアルコール、イソプロパノール)の性状

比重 0.786(20℃)

沸点 82.5℃

引火点 12℃

消防法 第四類アルコール類


個人で使用するには問題はありませんが、職場で使用する場合は有機溶剤中毒予防規則(通称:有機則)に該当する有機溶剤のため注意が必要です。

IPAは有機則に該当しているため、使用する場合は以下が義務付けられています。


・6カ月に1回の有機溶剤健康診断の実施

・6カ月に1回の作業環境測定

・有機溶剤作業主任者の選任

・局所排気装置の設置(全体換気の場合は防護マスクの着用)

・有機溶剤に関する掲示 他





TPM(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)


TPMはトリプロピレングリコールモノメチルエーテルの略称で、グリコールエーテル系の溶剤です。

光造形3DプリンタメーカーであるFormlabs社より洗浄剤の1つとして推奨されています。



●TPM(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)の性状

比重 0.967(20℃)

沸点 241℃

引火点 113℃

消防法  第四類第三石油類水溶性


TPMは洗浄力が低く、乾燥性が遅いため、IPAに比べると作業性が悪いです。

一方で引火点が高いため、消防法上の制約をあまり受けたくない場合に検討されます。

また、TPMは入手性が悪く、日本ではほとんど取り扱われていません。

IPAのように1L、4L、一斗缶という小さい荷姿から購入できる可能性は低く、購入できてもドラム缶からになります。





変性エタノール


変性エタノールとは、エタノールを主成分にした洗浄剤です。

通常濃度の高いエタノールには飲用の可能性があるため、酒税が掛かります。

高濃度エタノールでも酒税が掛からないようにするために、決められた変性剤を添加して変性アルコ―ルにします。


ここではIPA代替として使用可能な3Dメディカルクリーンを例に紹介します。

※3Dメディカルクリーンは3D MedSupoで使用する洗浄剤です。


3D MedSupoと3Dメディカルクリーン


●3Dメディカルクリーンの性状

比重 0.79(20℃)

沸点 75-100℃

引火点 13℃

消防法  第四類アルコ―ル類


3Dメディカルクリーン(変性アルコ―ル)はIPAと洗浄力・乾燥性が同等レベルです。

また、IPAの懸念事項であった有機則は非該当のため、安全性が高いだけでなく、管理コストも掛かりません。


3D MedSupoでは廃液を回収してリサイクルするため、使用者が産業廃棄物に悩むこともありません。



3Dプリンタ洗浄剤サービス 3D MedSupo 3Dメドサポ 3Dmedsupo

※クリックすると商品ページに移動します。




各社独自の洗浄剤


その他各社が独自に開発した洗浄剤がいくつかあります。

メーカーが推奨する多くは単一の有機溶剤であり、IPAのように有害性や引火性が高いものも含まれます。


一方、各社が独自に開発しているものは洗浄力が高く、樹脂に影響が少ないものや消防法に非該当で洗浄力が高いものなど特徴は様々です。


以下、事例として三協化学社のファインゾルWP-100を紹介します。


三協化学株式会社 ファインゾルWP-100


●ファインゾルWP-100の性状

比重 0.951(20℃)

沸点   100℃以上

引火点  なし

消防法  非該当


ファインゾルWP-100は消防法に非該当な洗浄剤のため、特にビルの中での引火物の持ち込みが禁止・制限されている事業者に使用されているようです。





一口に光造形物の洗浄剤と言っても、様々な種類があり、それぞれ違った特徴があることがお判り頂けたかと思います。

IPA代替として使用できる3Dメディカルクリーンにご興味頂いた方は弊社のお問い合わせよりお問い合わせ頂けますと幸いです。


お問い合わせはこちら



閲覧数:2,004回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page